大学院入学生の皆さんへ
掲載日:2012/10/01
大学院へご入学される64名の方々に心からお祝い申し上げます。
皆さんはいろいろなご経歴を持ちながら、そしていろいろな将来への思いを持ちながら、今ここにおられることと思います。その思いこそが最も大切な志であり、大切にしていただきたいと思います。
今日から始まる、広い意味での研究に大きな夢を抱いておられることでしょうし、実際に研究を始められてその夢はさらに大きなものへ変化していくことでしょうし、また違った新たな夢が生まれてくることもあるでしょう。それはあなた方にとって魅力に満ちた興味として魅かれていくことでしょう。その興味に向かって果敢に挑戦していただきたいと思います。
これから取り組まれる研究を実践する研究者として、特に心がけてほしいことについて伝えたいと思います。研究とは何か未知なるものを明らかにしていこうとする志によって支えられ、いろいろな思考、実践によって未知なるものが解き明かされていくものだと思います。ここで大切なことは、個々の研究者にとってその成果が出たとして、あるいはまだ未解決ではあるがもし明らかになった時、それはどのように人類の幸福に貢献できるのかということを語れる研究者であってほしいと思います。これは決して今すぐに役立つことを求めているのではなく、皆さんの成果を基礎に将来に向かって膨大な研究を必要とするようなこともあるでしょう。そのことは問いません。ただ少なくとも夢としてでも自らの研究の持つ意味を、人類への貢献という視点で語れることが必要ではないかということをお伝えしたいということです。そのために皆さんは何が必要でしょうか。
それは研究をするということは、自分の行っている狭い領域のことだけではなく、教養として、あるいは文系の方でも理系の知識、理系の人にも文系の知識を持つということが求められるようになっています。そのことが自らの研究をより豊かにできることであると思います。人間性を豊かにできることでもあると思います。ぜひ、そのような研究者として活躍されることを願っています。
本学は総合大学です。非常に多くの領域のたくさんの研究者がいます。そのような環境を十分に利用していただきたいと思いますし、大学は積極的に皆さんを応援します。これからの日々が楽しく、意義ある日々であることを願って、挨拶といたします。
平成24年10月1日
千葉大学長 齋藤 康