センター長挨拶
センター長
酒井 啓子
2016年度、千葉大学の研究者を中心とした新学術領域研究「グローバル秩序の溶解と新しい危機を超えて関係性中心の融合型人文社会科学の確立」(H28-32年度)が、採択されました。本新領域研究は、紛争や難民問題から差別や不公正といった社会的緊張など、地域の小さな変化がグローバルな現代社会を揺るがすメカニズムを、関係性に注目して解明することを目的としています。つまり、ローカル・レベルからグローバル・レベルまでのさまざまな規模、レベルの主体間の関係が、情報や思想、モノやカネ、人の移動のグローバル化などによって常に変動し、相互に影響しあう現状を、社会科学および地域研究を軸とした、分野横断的かつ実践的研究の新たなパラダイムとして「グローバル関係学」を構築することが、その目標です。 この目的を達成する研究拠点として、2017年4月１日、グローバル関係融合研究センターは設置されました。同センターは千葉大学での初めての人文社会科学系の全学研究センターで、文系研究のピークとして、既存の学問の枠を超えた新しいグローバルな危機に対処する研究分野を生み出します。そこでは難民問題や紛争、格差の拡大など、現代のグローバル社会が直面するさまざまな危機をいかに読み解くかを探り、解決方法を模索します。関係学に焦点を合わせてグローバルな危機への対応を研究目的とする「グローバル関係学」は、日本国内のみならず国際的にも画期的な試みです。社会科学の各分野を網羅する法政経学部は無論のこと、人文社会科学として国際教養学部や文学部、また総合大学として理系、生命科学系の教員が参画するグローバル関係融合研究センターは、各学部・研究科における過去の研究蓄積を活かし、各研究分野間の研究交流を促し、「グローバル関係学」の日本最大拠点となることを目指します。