附属中学校のアドボカシーゼミで起立性調節障害に関するパンフレットを作成・配布

2023年03月30日

研究・産学連携

千葉大学教育学部附属中学校の生徒3名が、総合的な学習の時間を活用して行われたアドボカシーゼミにおいて、起立性調節障害の実態と同障害に悩む子どもの学びの権利についての提言などをパンフレットにまとめ、同校で配布の上、WEBサイトで公開しました。

アドボカシー(Advocacy)とは、「擁護・代弁」を意味する英単語「Advocate」を由来とし、社会的に弱い立場にある方の困りごとを第三者が代わりに政治や世間に訴えかけ、よりよい社会を作る活動です。
アドボカシーゼミは同校の非常勤講師である郡司日奈乃氏(大学院教育学研究科大学院生)が2022年度に立ち上げ「誰もが生きやすい社会」を目指して生徒3名が起立性調節障害※の現状について調査し、提言をまとめました。
※自律神経の不調により、頭痛、めまい、立ちくらみ、朝起床困難などを引き起こす。思春期に発生しやすく、学校生活に影響を及ぼすことも多い。

生徒たちは当事者団体や日本若者協議会の方々とお話しした上で、以下の内容を求める提言書を作成。千葉市教育委員会・千葉市議会・文部科学省へ手交し、文部科学省では記者会見も行いました。

<提言内容>
① 小、中、高、大学生における起立性調節障害の症状を有する生徒の実態調査
② 学校の教員及び講師に対する起立性調節障害の概要を記載した冊子を作成し、教員、 講師1人につき1冊配布をすること
③ 児童・生徒向けの起立性調節障害に関する冊子やポスターを作成し、廊下などの学校の要所に掲示すること
④ 義務教育課程及び高等教育課程における出席日数の数え方の変更
⑤ 学校教育において多様な学びの選択肢を設けること
⑥ 学校にシエスタ(昼寝などの時間に当てるための昼休憩)の導入

その後、これまでの活動で得た知見をパンフレットにまとめ、同校の全生徒約450名に配布の上、WEBサイトで公開しました。

ゼミ長である髙馨彦さん(附属中3年)は、パンフレットの配布に際して「1人でも多くの方にこの問題を知っていただきたいです。生徒のみなさんはもちろん、おうちの方や友人にもぜひ見せてください。いっしょに誰もが生きやすい社会をつくっていきましょう。」と全校生徒に呼びかけました。
非常勤講師の郡司日奈乃氏は「社会に対してはたらきかける活動を通して、生徒たちは今後もアドボカシーについて探究し、実践しようとする態度を身につけることができました。」と話し、これまでの主権者教育のあり方に留まらない授業プログラムの開発や実践に意欲を見せていました

アドボカシーゼミは今後も署名の呼びかけを行い、提言先へのアプローチを続ける予定です。

  • 千葉市議会へ提言書を提出する生徒たち

  • 文部科学省へ提言書を提出する生徒たち

  • 文部科学省で記者会見をする生徒たち

  • 生徒たちによって作成されたパンフレット