令和4年度千葉大学卒業式 答辞

  • 卒業生答辞

うららかに降り注ぐ春の光と頬を伝わる柔らかな風に心華やぐ季節となりました。本日は諸先生方並びに来賓各位のご臨席を賜り、盛大な卒業式を挙行していただいたこと、また、只今中山学長より温かい告辞の言葉を賜りましたことに、卒業生一同心より御礼申し上げます。

私たちを今まで育てて大学に通わせてくれた両親や家族、知識のみならず学問の奥深さや学ぶことの大切さを指導してくださった諸先生方、ともに切磋琢磨し多くの時間を共有した学友・先輩・後輩の皆さんに感謝の意を表したいと思います。誠にありがとうございました。

振り返ると、大学生活は様々な出会いと経験を経て瞬く間に過ぎていきました。そしておそらく、今日ここにいる卒業生の中で、4年前に思い描いていたキャンパスライフを送れたという人はいないのではないでしょうか。

桜咲く4年前の春、私は地元の長野を発ち、期待に胸を膨らませ千葉大学工学部に入学しました。新天地での生活には期待と共に多少の不安もありましたが、いざ大学生活が始まると、同じコースの学生やサークル活動で知り合った学生とすぐに仲良くなることができました。試験前図書館で夜遅くまで勉強したり、サークル活動で共に汗を流したのは今となってはかけがえのない思い出です。そんな中新型コロナウイルスが流行し始め、私たちの生活は一変しました。大学ではオンライン授業を余儀なくされ、他の学生や先生方と交流する機会が激減しました。そこから、友人と同じ空間で授業を受け、昼ご飯を食べながら他愛もない雑談を交わす、などといった日常が決して当たり前ではないことを痛感しました。また、サークル活動の制限や各種イベントの中止・規模縮小、自粛要請など、常に何かに縛られているような不自由さを感じた学生も多いのではないでしょうか。しかしそのような状況であったからこそ、人と人とのつながりの尊さに気付くとともに、新しい授業の形に適応したり、困難を打開するアイデアを考える、など変化に柔軟に対応するしなやかさを手に入れることができたのだと思います。

ここ1年は授業が徐々に対面形式に戻り、大学祭が3年ぶりにキャンパス内で開催されるなど、以前のような活気が蘇りつつあります。昼休みに食堂や売店が混み合う風景にはどこか懐かしいような不思議な心地になったのを覚えています。個人的にはこの1年間、卒業研究に没頭していました。慣れない研究生活でしたが、心の支えとなった同期、頼もしい先輩方、そして常に私に寄り添って適切な助言をしていただいた教授には感謝の念に堪えません。

程なくして私たちは就職・進学などそれぞれの道を歩み始めます。コロナ禍を乗り越えた学生生活というのは後にも先にもないでしょうから、どの進路においてもその経験を自分の強みとし、一人ひとりが託された使命を精一杯果たしていこうと思います。

最後になりますが本日まで親身にご指導してくださった諸先生方、苦楽を共にした友人、そして一番近くで私たちを支えてくれた家族に改めて御礼申し上げます。さらに本日ご来場いただいた皆様のご多幸と、千葉大学の輝かしい発展、そしてこの世界の平和をお祈りいたしまして答辞とさせていただきます。

令和5年3月23日
卒業生代表 工学部総合工学科電気電子工学コース 寺島魁人