令和5年度千葉大学大学院入学式 入学生宣誓
春光麗らかな季節を迎え、春風が心地よい頃となりました。先月13日からマスクの着用につき個人の判断を尊重することとなりましたが、未だ新型コロナウイルスが収束を迎えたとは言えない中でも、このような素晴らしい入学式を挙行して頂きましたこと、中山学長をはじめ、教職員ならびに関係者の皆様へ、新入生を代表し、心より感謝申し上げます。
さて、私は、2019年から鹿児島大学で法律学を専攻してきましたが、ある教授の下で戦後補償問題、特に原爆医療法に関する判例について研究する機会がありました。
昨年、黒い雨訴訟における被爆者健康手帳の交付について新制度の運用が開始されましたが、今現在も尚、国家補償の谷間の問題として救済が間に合っていない方々や後遺症で苦しんでいる方々が多くいらっしゃいます。
また、先月の11日で東日本大震災から12年が経ちましたが、皆様は当時のことをご鮮明に覚えておられるでしょうか。私は当時、小学校で部活動を行っている最中でしたが、部活動の顧問をはじめとした周りの人の表情、報道で流れてくる声など、今でも鮮明に覚えています。
さらに直近の問題で言えば、周知の通り、度重なる感染症問題によって人間関係が希薄化し、いじめを筆頭とする新たな人権侵害や差別が後を絶たず、経済的・精神的に苦しい状況がありましたが、私達にとっても社会的弱者に寄り添うことのできる能力がより強く要請されているように感じます。
このような問題に対して、俯瞰し、多角的な視点から推察できる洞察力や冷静かつ柔軟な判断力だけでなく、「生きている一人ひとりのために」何ができるか日常的に考えることのできる「心」のある法律家を目指して、努力を惜しまず、日々研鑽を積むことをお約束致します。また、私達新入生一同、それぞれの目標に向かって真剣に向き合い、真摯かつ謙虚に研究に努めることをここに宣誓し、新入生代表の挨拶とさせて頂きます。
令和5年4月5日
新入生代表 専門法務研究科 鎌田竜太郎