令和2年度 千葉大学卒業式 卒業生答辞

第一部

  • P3230337.JPG

冬の寒さも和らぎ、春の訪れを感じる季節となりました。

本日は、徳久学長をはじめとする諸先生方にご臨席を賜り、私たち卒業生のためにこのような式典を挙行していただき、誠にありがとうございます。

只今、徳久学長より温かい訓辞と激励のお言葉を賜り、卒業生一同、感謝の念でいっぱいです。また、新型コロナウィルス感染症による厳しい社会情勢の中、式典の挙行に向けてご尽力いただきましたすべての皆様に卒業生を代表して厚く御礼を申し上げます。

大学生活を振り返りますと、良く晴れた空の下、不安と期待を抱き、千葉大学に入学したあの日から数え切れないほどの貴重な経験をしました。

私は入学後、地方創生に興味を持ち、全学共通プログラムを通じてローカルイノベーションや地域活動について学びました。人口減少社会を迎えている日本の縮図としての側面を持つ千葉県の地域性を知り、地方部の衰退に危機感を覚えました。一方で、衰退する地域のために活動する方々のお話を伺う中で、「これからは地方の時代だ」という希望も感じ、都市部との交流による持続可能な地域づくりや産官学連携による地域おこしなど、ピンチの中にはチャンスが眠っていることを学びました。

また、所属した環境ISO学生委員会では、千葉大学と京葉銀行との協同ecoプロジェクトに参加しました。銀行やNPO法人の方々と活動する中で、各々の立場を超えて地域とその未来のために行動することの価値に気づき、加えて、仲間と協力して物事を成し遂げることの大切さも実感しました。私の提案した企画に対して何度も議論を重ね、時に厳しく指摘をし、時に優しく励ましてくれた仲間の存在があったからこそ、実現することができました。

私はこの4年間で、授業や課外活動を通じて、様々な価値観やバックグラウンドを持った友人と出会い、自分の持ち合わせていなかった視点や思考を得ることができました。目まぐるしく変化を続け、ますます多様化が進む社会を生きていくうえで、この学生生活で得たものすべてが何物にも代えがたい貴重なものとなりました。

この1年、新型コロナウィルスの影響により、私たちの生活は一変しました。千葉大学でもオンライン授業の実施や各種イベントの中止・規模縮小などの影響がありました。教職員の方々や友人との様々な交流の機会が減り、それまで当たり前のように過ごしてきた日常が、決して当たり前でないことを痛感しました。しかし、私はこの状況を悲観的には考えていません。なぜなら、「ピンチからチャンスを見出す大切さ」や「仲間と手を取り合う大切さ」をこの4年間で学んだからです。

私たちが千葉大学で充実した日々を過ごすことができたのも、親身にご指導いただいた先生方、学生生活を支えていただいた職員の皆様、温かい手を差し伸べてくださった地域の皆様、一番近くで見守り続けてくれた家族、そして共に歩んできた友人たちの存在があったからにほかなりません。この場を借りて、心より感謝を申し上げます。

 最後になりましたが、本日ご臨席を賜りました皆様方およびオンラインでご視聴の皆様方のご健勝と千葉大学の更なる発展をお祈りいたしまして、答辞とさせていただきます。

令和3年3月23日
卒業生代表 法政経学部法政経学科 細萱桂太

第ニ部

  • P3230462.JPG

暖かい日差しが降り注ぎ、柔らかに吹く風に春の訪れを感じられる季節となりました。
本日は、様々な困難な状況が重なる中、私たち卒業生のためにこのような盛大な式を催していただき、誠にありがとうございます。また、ご多忙のなかご臨席下さいました、徳久学長をはじめとする諸先生方、画面の前で式にご参加いただいているご父兄の皆さま、並びに関係者の皆さまに、卒業生一同、厚く御礼申し上げます。

私たちは4年あるいは6年前に、今と同じここ千葉ポートアリーナで入学式に臨みました。その日から今日までが本当に一瞬のように過ぎ去っていきました。しかしながら、多くの出会いと経験を経て、非常に濃密で生涯忘れることのできない、かけがえのない時間となりました。卒業を迎える今、私たち一人ひとりの胸の中には様々な想いが去来していることと思います。

私自身の大学生活を振り返ると、4年前の春、私は地元の東北を発ち、千葉大学に入学しました。大学生になれた喜びと、新天地での新たな生活への期待に胸を高鳴らせていました。なぜ「生物は老化するのか」に興味を持った私は、理学部生物学科で日々勉学に励みました。学科では、多様性を重んじる学問である生物学を象徴するように、個性あふれる素敵な友人たちと出会いました。試験前に遅くまで一緒に勉強したこと、学生実習で寝食を共に団結して実験を進めたこと、大学祭ではアイデアを出し合って水族館を運営したことがつい昨日のことのように思い出されます。また、私は3年生の夏に神戸の理化学研究所で行われたインターンシップに参加しました。そこでは、短期間で新しい研究成果を出すことが求められました。実験を何度も行い、チームのメンバーと夜遅くまで議論を重ねた末に、納得のいく発表ができました。大学に戻り、研究室に配属されてからも、毎日こつこつと実験に励みました。実験は予想通りの結果が得られないことが常でしたが、周囲の人々に支えられながら試行錯誤を繰り返すことで、深い洞察力や広い視野を身に着け、新たな成果につながりました。これら大学生活での経験すべてが私の礎となり、今後の人生における指針となることでしょう。

これから、更に学問の高みを目指す方も、就職し社会還元に邁進していく方も、各々が自分で決めた道へと歩んでいくことになります。急速に変化し続ける世の中で、私たちは常に何が課題であり何が求められるのかを考え、行動していかなくてはなりません。私たちが千葉大学で獲得した叡智は永久不変の財産であり、この財産を支えとして世界を切り開いていくことができると信じています。

最後になりますが、本日までご指導、ご支援してくださった諸先生方、職員の皆さま、切磋琢磨しあった友人たち、そしていかなる時も味方となり、全力で支えてくれた家族に、心より感謝申し上げます。結びに皆さまのご多幸と、千葉大学の輝かしい発展を祈念いたしまして、答辞とさせていただきます。

令和3年3月23日
卒業生代表 理学部生物学科 千葉桃果