令和2年度 千葉大学大学院修了式・学位記授与式 修了生答辞

博士後期課程修了生代表 答辞

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膨らむ桜のつぼみが春の到来を告げるこのごろ、皆様方におかれましては、益々御清祥のこととお慶び申し上げます。本日は、徳久剛史学長をはじめ、諸先生方の御臨席を賜り、このように盛大な修了式・学位記授与式を開催していただき、修了生一同、心より厚く御礼申し上げます。

挨拶に先立ち、新型コロナウイルスによるパンデミックの中、お亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げます。また医療関係者の方々をはじめ、日々社会基盤を支えてくださっている方々に深く敬意と感謝の気持ちをお伝えしたいと存じます。

千葉大学大学院において私たちは、第一線で活躍なさっている先生方の御指導のもと、学問研究の醍醐味を味わうとともに、先人の知恵に対する謙虚な姿勢と、研究成果を社会や他者に還元する責任感を培いました。博士後期課程で各国の先生方や学友同士と交流し、様々な世代・ジェンダー・国籍・ビジョン・宗教信仰をもった方々と切磋琢磨し合った経験を通して、私たちは鋭い知性と豊かな感性を身につけました。千葉大学で培われた国際性・実践性・学際性・社会性が今後の私たちの糧となることでしょう。これからも私たちは、学問と他者に対する誠意を忘れることなく、社会の一員として貢献活動に取り組み、共に人生の新しいステージを目指し邁進してまいります。

私たちはコロナウイルス感染症によって顕在化してきた様々な課題に直面しなければならないという責任の重大さも感じています。現在進行中のコロナ禍によって、人々に新たな医療問題と生活問題を解決する責務が課されます。また、感染者や医療従事者等に対する人権侵害・プライバシーの侵害・偏見に基づく誹謗中傷などの社会問題も表面化しています。さらに、コロナウイルスの蔓延は、人類が長い間放置していた様々な課題について改めて考え直すきっかけにもなっています。過剰な資源開発・自然破壊・地球温暖化・急速な経済発展・急激な人口移動・大量生産/消費/廃棄社会・貧富/地域/ジェンダー格差・水や衛生の問題など、このような課題は決して一国のみの問題ではなく、人類に共通する基本的な課題です。

私たちはこのような問題意識を共有するとともに、分野・人種や国籍の垣根を越えて連携し合う精神と、社会課題解決に貢献する熱意、そして「つねにより高きものをめざして」という千葉大学憲章の理念も共有しています。研究者の良心と科学者の使命を持って、先人の知恵と歴史的教訓から学び、それぞれの人生の目標に向かって日々の努力を重ねていけば、今の難局を乗り越え、さらに長いスパンで持続可能な社会の創造に寄与することもできると信じています。

最後となりましたが、これまで御指導くださいました諸先生方、千葉大学の教職員の皆様方、学び励まし合ってきた院生同士、私たちの研究生活を支えてくださった多くの方々、いつも温かく見守って下さった御家族の皆様方に、重ねて心より御礼申し上げます。

皆様方の御健勝と御多幸をお祈り申し上げ、千葉大学のより一層の御発展と人材の輩出を祈念いたしまして、答辞とさせていただきます。

令和3年3月25日
博士後期課程修了生代表 人文公共学府 人文公共学専攻 張 永嬌

専門職学位課程・修士課程修了生代表 答辞

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厳しい冬の寒さも和らぎ、春の温かさが感じられる季節となりました。

本日は、お忙しい中、徳久学長を始め、先生方のご臨席を賜り、このような盛大な式典を催していただき、修了生一同、心より御礼申し上げます。

春という季節は、別れと出会い、そして新たなスタートのときでもあります。私たちは今、修了という言葉を前に、様々な想いを胸に抱いています。私は2年前の春、これまで受けてきた高等教育の集大成として、より高度な専門性と幅広い俯瞰的視野の確立を志し、学びの門を叩きました。今こうして、桜の花びらが舞い散る中で、有機化学を専攻し、答えの無いテーマに挑み続けた研究生活を振り返るとそれはまさに激動の2年間でした。決して順風満帆な研究生活ではなく、そこには幾多の壁が待ち受けていました。時には前に進むことを諦め、逃げ出しそうなときもありました。何が正解なのか分からず、自己を見失いかけそうになるときもありました。しかし私は、その茨の道の中で、かけがえのない宝物を見つけました。それは、つねに、より高きものを目指す情熱と、傍で支えてくれる人たちの存在です。答えの無い問いに挑むとき、私たちは現状に甘んずることなく、常に創造性を持って、至上を目指す必要があります。そのために私たちは日々、自己と向き合い、問いかけ、研鑽に努めてまいりました。その中で、様々な価値観を持った仲間と共に想いをぶつけ合い、支え合うことの素晴らしさを私は肌で感じました。多くの方の支えがあったからこそ、寝食も忘れ、不屈不撓の精神で知の探究に没頭することが出来ました。こうして、学問の真髄に挑む仲間と巡り合い、人格形成の修養に励むことができた2年間は私にとって貴い賜物です。

昨今、世界では新型コロナウイルスの蔓延により、私たちにとって当たり前であった日常は瞬く間に失われてしまいました。あまりにも突然のことに、先の見えない暗闇に迷い込んでしまったと下を向く人もいるでしょう。しかし、私は決して未来を悲観していません。本学で知性を磨き、豊かな教養を積み上げていく中で、人格の修養に邁進した私たちは、未来を切り拓く先陣を切り、幾多の困難を乗り越えていきます。この信念を貫くことこそが、人生という物語を共に築き上げてこられたすべての方々への何よりもの恩返しに繋がるはずです。修了するにあたりまして私は、不安と希望が交錯するこの時代の中で、謙虚にそして真摯に信念を貫き通すことを表明いたします。

最後になりましたが、これまで御指導してくださいました徳久学長をはじめとする諸先生方、教職員の皆様、想いを打ち明けながら切磋琢磨し合った学友、そして温かく見守ってくださった御父母の皆様に、この場を借りて感謝申し上げ、答辞とさせていただきます。

令和3年3月25日
専門職学位課程・修士課程修了生代表 融合理工学府 先進理化学専攻 成登 大貴