高血圧診療での新たな個別化医療の確立
原発性アルドステロン症への地域・施設間差をなくす診断モデルを開発
-医療費削減に貢献!-
2023年12月12日
研究・産学連携
日本において約4,300万人いるとされている高血圧患者さんの約10%に当たる430万人以上の方が、「原発性アルドステロン症 (PA)」という病気が原因であると推定されています。PAによる高血圧は手術によって治癒しうる病気ですが、この判断には、超選択的副腎静脈採血 (sAVS)という最先端の診断技術が必要です。しかし、sAVSはまだ限られた施設でしか利用できません。そこで、千葉大学医学部附属病院の北本匠助教、IBM Researchの井手剛博士、横浜労災病院の西川哲男名誉院長、鶴谷悠也部長、東北大学大学院医学系研究科病理診断学分野の佐藤文俊客員教授、東北大学病院糖尿病代謝・内分泌内科の手塚雄太医員、市立札幌病院和田典男部長の研究チームは、機械学習を応用した独自のアルゴリズムを開発し、一般的な診療情報を用いてPA患者さんのうち、sAVSによる診断が必要な方を35%まで絞り込むことに成功しました。この成果により、sAVSを実施することなく65%にあたる患者さんの治療方針を94%の精度で決定することが可能となったため、不必要な入院・採血等の負担を減らすことができます。同時に、35%のsAVSを必要とする患者さんのみに診断を実施し「治せる高血圧」をより多く見つけることも実現できます。本研究成果は、科学誌 Scientific Report にて2023年12月11日にオンライン公開されました。