1960年に予測された素粒子の標準理論「Glashow共鳴」を世界初検出 IceCube実験による宇宙ニュートリノ観測が架けた素粒子と宇宙の新しい橋

2021年03月11日

研究・産学連携

千葉大学ハドロン宇宙国際研究センターが参画するIceCube(アイスキューブ)実験は、2016年12月に宇宙から飛来した高エネルギーニュートリノの観測から、1960年に予測されたGlashow共鳴という現象を初検出しました。この検出により、素粒子物理学の標準理論を、人工的な加速器ではなく宇宙で加速された粒子で検証することが可能であることが実証されました。
さらに本研究では、これまで難しいとされていた高エネルギー宇宙ニュートリノの粒子と反粒子の区別を初めて可能としました。この識別手法が宇宙ニュートリノ発生機構の解明に新たな知見をもたらし、今後のニュートリノ天文学で重要な役割を果たすことが期待されています。
本研究の主要な部分は2015年から2020年まで千葉大学ハドロン宇宙国際研究センターの特任研究員であったLu研究員(現ウィスコンシン大学マディソン校 Assistant Professor)によって行われました。
この研究成果は、総合学術雑誌 Nature の3月11日発行号に掲載されます。(日本時間3月11日午前1時にオンライン掲載)

  • アジサイイベント

    IceCubeニュートリノ望遠鏡によって記録された、2016年12月の高エネルギーニュートリノ検出(イベント)を視覚化したもの。詳細なデータ解析により、このときにGlashow共鳴がおきたことが判明した。色付きの球体は、このときに反応したIceCubeのセンサーを示し、早くに反応したものを赤、時間が経ってから反応したものを青で示す。このイベントは円状に広がる形から「アジサイ」の愛称で呼ばれている。命名は千葉大学石原教授による。

これまでのIcecube実験の歩みと、本研究成果について動画で解説しています。
何十億光年の彼方から:氷と衝突した超高エネルギーニュートリノを検出
From Billions of Light Years Away: Detecting Ultrahigh-energy Neutrino Collisions with Ice

関連リンク:
千葉大学ハドロン宇宙国際研究センター
「素粒子の基礎理論「Glashow共鳴」の実証に初成功 ~ニュートリノと反ニュートリノの識別を可能にし、宇宙ニュートリノ発生機構の解明に?きく貢献する成果をネイチャー誌で発表~」
IceCubeプロジェクトオフィスのプレスリリース(英語)