慢性閉塞性肺疾患 QOL評価の有用性と禁煙の重要性が明らかに 独自の解析法で30年にわたる病態進行を推定

2020年08月27日

研究・産学連携

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、日本において500万人以上の患者が潜在しているといわれる進行性の慢性疾患で、生涯に渡る治療・疾患管理が必要になります。そのため、COPD患者の将来の病状を正確に予測し、最も有効な治療法を選択することが重要です。
千葉大学大学院 薬学研究院および慶応大学医学部の研究グループは、多数の短期間データから数十年にわたる変化を推定する独自の新しい解析法で、1,025名の患者の4年間の臨床試験結果から30年程度のCOPDの病態進行を推定しました。この解析により、COPDの患者では生涯にわたり生活の質(Quality of Life:QOL)が一貫して悪くなることが、臨床試験の結果からは初めて明確に示されました。また、禁煙によりQOLの悪化の速度も半分程度になることが確認されました。
この解析結果により、今後の臨床試験の評価指標の選択肢が広がったとともに、患者への禁煙指導が重要であることが示唆されました。
本成果は、科学誌Journal of Clinical Medicineにて2020年8月19日にオンライン公開されました。

  • SReFT解析で、喫煙の有無と病態悪化の有無に着目して比較推定した各指標の時系列変化