CO2はパラフィンへ、COはエチレン/プロピレンへ
用途に応じて目的生成物を自在に選べる光触媒
2024年10月07日
研究・産学連携
千葉大学大学院融合理工学府博士前期課程(当時)のルミシ タリク氏、石井 蓮音氏、博士前期課程の大弓 知輝氏、阿部 一響氏、李 崇旭氏、博士後期課程(当時)の原 慶輔氏、張 宏偉氏、同大大学院理学研究院の泉 康雄教授らの研究グループは、CO2またはCOから用途に合わせて、炭素数2もしくは3の飽和炭化水素(パラフィン)、不飽和炭化水素(オレフィン)を生成する光触媒について調べました。その結果、コバルト(Co)–酸化ジルコニウム(ZrO2)光触媒に紫外可視光を照射することで、CO2から炭素数が1〜3のパラフィン(C1~3パラフィン)を生成できることが確認されました。また、一酸化炭素(CO)からは炭素数が2,3のオレフィン(C2,3オレフィン)を選択して生成することが分かりました。
CO2からCOを選択して得るのは比較的容易なため、このCo–ZrO2光触媒を使うことで、CO2からC1~3パラフィンやエチレン/プロピレンを、用途に応じて選択的に得ることが可能になります。C1~3パラフィンは新たなカーボンニュートラルサイクルを実現するための燃料として、また、エチレン/プロピレンは持続可能社会で経済的にも有用な高付加価値物質として、カーボンニュートラルサイクルの実現に寄与することが期待されます。
本研究成果は、2024年9月18日に、ドイツ化学会刊行のAngewandte Chemie International Edition誌にウェブ公開されました。