iPS細胞由来血小板造血における免疫巨核球の制御機構の発見
血小板の大量製造に向けた巨核球マスターセルの品質管理に応用可能
2024年03月29日
研究・産学連携
陳思婧特定研究員(現 千葉大学大学院医学研究院 特任研究員)、江藤浩之教授(京都大学CiRA、千葉大学大学院医学研究院)らの研究グループは、齊藤博英教授(京都大学CiRA)、高山直也准教授(千葉大学大学院医学研究院)らと共同で、iPS細胞由来巨核球株(imMKCL)注1から生体内の「免疫巨核球」に類似する細胞集団を、let-7マイクロRNA注2の細胞内活性差により濃縮・同定することに成功しました。この免疫巨核球集団の炎症性シグナルは、imMKCLの増殖・血小板注3産生の低下を引き起こすことを発見しました。さらにlet-7下流で機能するGTPaseであるタンパク質RALBが免疫巨核球発生の制御因子であり、炎症性シグナルを増強することを初めて見いだしました。本研究は、免疫巨核球の新知見を提示することに留まらず、imMKCLの免疫特性とその臨床応用について重要な知見を提供し、iPS細胞から血小板を製造する方法の改善につながります。さらに、再生医療製品の品質保証および輸血時の新評価項目を提案する根拠を提示しました。
この研究成果は、2024年3月22日に国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。