千葉大学・平沢研究室の木材ロボット加工技術を応用して制作!日本で発見された肉食恐竜として初めて全身骨格が復元された「フクイラプトル」の木造恐竜模型

2024年05月14日

研究・産学連携

千葉大学大学院工学研究院・平沢岳人教授の研究室と前田建設工業株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:前田操治)の共同プロジェクトで制作された「フクイラプトル」の木造恐竜模型が、202432日に行われた福井市観光交流センターのグランドオープン記念式典で披露されました。

フクイラプトルとは、中生代前期白亜紀の日本に生息していたテタヌラ類に属する獣脚類で、その属名は発掘地である福井県に由来しています。また、日本で発見された肉食恐竜としては初めて全身骨格が復元されたことでも知られています。

20172月から2024年3月まで平沢岳人教授の研究室と前田建設工業は、木材のロボット加工機に関する共同研究を実施してきました。「フクイラプトル」木造恐竜の制作プロジェクトは、前田建設工業の創業の地が福井県であり、当時新しい研究所を開所するにあたり福井県に関係するシンボルを作成したいというニーズがあったことから開始されました。このプロジェクトは共同研究を行っているロボット加工機の技術デモにも適していました。

福井県立恐竜博物館の協力のもと、フクイラプトルの骨を三次元スキャニングしてからメッシュ化し、制作の元データを作成。その後ロボットによるミリング加工により木材から骨部品を削り出しました。加工した総部材数は 200 を超え、6カ月にわたる長期プロジェクトとなりました。

完成した木造恐竜模型は、新幹線開通祝いとして福井市に寄贈されることとなりました。

グランドオープン記念式典では福井市より平沢教授、前田建設工業:前田操治社長に感謝状が贈呈され、その後、木造恐竜模型の除幕式が行われました。高さ約3.5メートルと迫力満点の「フクイラプトル」は、今後、福井市観光交流センターのコンコース内に展示されることになっています。

  • 本除幕の様子(左写真:左から福井県立大学 東名誉教授、福井市 西行市長、前田建設工業株式会社 前田社長、平沢教授)

  • 式典にて平沢教授(写真:左)より加工技術などを説明

平沢教授コメント:

 今春、北陸新幹線伸延に伴うJR福井駅の改修に伴い、福井由来の恐竜模型が常設展示されることになりました。人通りの多い場所に展示されており、多くの方の眼に触れることになります。少し前の仕事ですが、このような形で地域の賑やかしに役立つことができ、とても嬉しく思っています。
 この恐竜模型は研究室の学生らと一緒に2018年に制作しました。全長4m程もあり、大きさや部品数の多さもさることながら、制作期間の短さが特に厳しいものでした。その時点で使用できた4台のロボット加工機をフル回転させてなんとか間に合うタイトなプロジェクトになりました。ロボットの稼働率を高く維持する必要があるにも関わらず4台のロボットは県境を跨いで分散配置され全てが目前にあるわけではなかったので、インターネット上に進捗管理サーバを建て、日々の進捗状況を確認しながら加工する部品の順番を入れ換えるなど、プロジェクトをクラッシュさせないために最善を尽くしました。当時は、現代のようなクラウドツールを使ったリモートワーク環境はなかったので、建てた管理サーバは研究室オリジナルのものでした。
 恐竜模型は木製のため少しずつですが劣化していきます。幸いなことに、加工ロボットと加工データがあれば、傷んだところを入れ替えることはできます。この恐竜模型が末永く展示されるように、サポートしたいと思います。