卵は見えぬけれども匂うんだよ
―卵の匂いを手がかりにしたダニの托卵―

2024年10月07日

研究・産学連携

 動物が他個体の巣に卵を産み、自分の子の世話をしてもらう現象は托卵と呼ばれ、数多くの種で知られています。千葉大学大学院園芸学研究院 長泰行准教授とオランダ・アムステルダム大学 Arne Janssen准教授の研究グループは、体長0.4mmほどの小さなダニの世界で托卵が起こることを昨年報告しました。今回の研究では、目の見えないダニが托卵する相手の0.2mmほどの卵の匂いに反応して、仮親の産卵場所に托卵することを明らかにしました。
 本研究成果は、動物が托卵する相手の卵の匂いを手がかりにして托卵する場所を見つけることを示した、世界で初めての発見です。近年、動物が卵の匂いに反応することを示す実証研究が増えていますが、本研究は卵の匂いが動物間の相互作用に果たす役割の解明につながることが期待されます。
 本研究の成果は2024年9月2日に英国の国際学術誌Ecological Entomologyにオンラインにて公開されました。