頭蓋咽頭腫における腫瘍微小環境と免疫ネットワークの分子機序の解明~頭蓋咽頭腫の新たな治療法にむけて~
2024年11月18日
研究・産学連携
千葉大学医学部附属病院の松田達磨医師、同大学大学院医学研究院の樋口佳則教授、同大学災害治療学研究所の河野貴史特任助教、田中知明教授らの研究グループは、頭蓋咽頭腫の2つの主要なサブタイプであるエナメル上皮腫型(ACP)注1)および扁平上皮乳頭型(PCP)注2)について、単一細胞RNA解析注3)を用いて腫瘍の細胞構成、多様性および細胞間の相互作用を詳細に解析しました。本研究による頭蓋咽頭腫における腫瘍細胞と免疫細胞の詳細な相互作用の解明を通じて、より効果的な治療法の開発や患者さんの症状予測の実現が期待されます。
本研究成果は、2024年10月1日付で国際科学誌iScienceに掲載されました。
注1)エナメル上皮腫型:歯の形成に関わる細胞に似た特徴を持つタイプの頭蓋咽頭腫。主に小児に多く見られ、頭蓋(ずがい)の底部に発生する良性の腫瘍。顎の骨にできるエナメル上皮腫と似た細胞から構成されることからこの名称がついた。
注2)扁平上皮乳頭型: 皮膚の表面を構成する細胞に似た特徴を持つタイプの頭蓋咽頭腫。主に成人に多く見られ、嚢胞(のうほう)を形成する傾向がある。腫瘍の表面に乳頭状の構造が見られることが特徴。
注3)単一細胞RNA解析:1つ1つの細胞ごとに、その中で働いている遺伝子を網羅的に調べる最新の解析技術。従来の方法では組織全体の平均的な遺伝子の働きしかわからなかったが、この技術により個々の細胞の特徴や状態を詳しく知ることができる。