進化した次世代匂い追跡ドローン~昆虫の技術を駆使した世界最高性能モデルが新記録を樹立!~

2025年02月19日

研究・産学連携

 信州大学繊維学部 機械・ロボット学科の照月大悟准教授と、千葉大学大学院工学研究院の中田敏是准教授、同大大学院融合理工学府博士後期課程 2 年の福井千海氏らの研究グループは、生きた昆虫の触角を使った嗅覚飛行ロボット(バイオハイブリッドドローン)を開発し、匂いの発生源を探索する研究を進めています。本研究では、使用する匂いセンサと探索アルゴリズムを大幅に改良し、世界最高性能の次世代バイオハイブリッドドローンの開発に成功しました(図 1)。
 バイオハイブリッドドローンは、生物の優れた嗅覚(例:触角)と小型ドローンを融合した革新的なシステムです。このシステムは、従来のカメラやレーザー技術を補完し、匂いを使ったナビゲーションを行うことが特徴です。本研究では、生物が行う匂い源探索行動からヒントを得て、ドローンの匂い追跡能力を向上させる、以下2つの重要な要素を明らかにしました。

1. 匂いセンサを特別なエンクロージャ(カバー)で覆い、匂いの方向感知能力を高めること
2. 戦略的に動きを停止する、生物に学んだ「段階的回転アルゴリズム」を導入すること

 これらを統合した次世代バイオハイブリッドドローンは、探索精度が2倍以上に向上し、探索距離は最大5mに達しました。この成果は、直径10cm程度の小型ドローンによる匂い源探索の世界記録です。このドローンは、カメラなどの画像情報の利用が困難な災害環境において、匂いを利用して要救助者を発見する新しい災害救助システムの実現に貢献すると期待されます。
 本研究成果は、ネイチャー・パートナー・ジャーナル(npj)のロボット系雑誌であるnpj Roboticsに、令和7年2月5日に公開されました。