生体内で安定して機能するアスタチン-211標識法を開発 より有効で安全な核医学治療への応用に期待

2021年10月29日

研究・産学連携

 千葉大学、東京工業大学、大阪大学放射線科学基盤機構、量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所の共同研究グループは、生体内で安定して機能するアスタチン-211 (211At)を用いる新しい標識法を開発しました。211Atはがんやバセドウ病などの治療で行われる核医学治療への応用が期待されるアルファ線という放射線を放出する原子であり、これまでに211Atを結合した様々な放射性薬剤が開発されています。しかし、従来の薬剤では生体への投与後に、211Atが脱離してしまうことに伴う正常組織への放射能集積が観察されており、副作用が懸念されていました。
本手法により211Atと炭素の結合が安定化されたことから、今後より有効で安全な治療薬剤の開発への応用が期待されます。
本研究成果は、2021年10月28日(木)午後7時(日本時間)にJournal of Medicinal Chemistry誌に掲載されました。

  • 異なる組み合わせの置換基を導入した3種類の放射性ヨウ素標識モデル化合物の安定性を検討、最も安定していた化合物の構造(①)を211Atに展開し(②)、その生体内における安定性を検討した。