ビッグデータが明らかにする日本の敗血症の実態 ―超高齢社会の新たな課題―

2021年09月28日

研究・産学連携

 千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学 中田孝明教授、医学部附属病院 今枝太郎特任助教らは、2010年~2017年の8年間にわたる5,000万人以上の日本の入院患者のデータを抽出し、日本における敗血症の患者数や死亡数に関する全国的なデータをまとめ、日本の敗血症の実態を初めて明らかにしました。このデータは、日本独自の診療報酬の包括評価制度であるDiagnosis Procedure Combination (DPC)の保険請求に基づくデータベースを利用して抽出したものです。
本研究により、日本における敗血症患者の死亡率は低下傾向である一方、患者数や死亡数は増加傾向にあることがわかりました。高齢者は敗血症となるリスクが高く、超高齢社会である日本において、今後も敗血症患者数は増加傾向をたどると推測されます。このことから、敗血症の早期発見だけではなく、敗血症を引き起こすきっかけとなる感染症を予防するためのワクチン接種や衛生保持などの感染症に対する予防も重要であると考えられます。
本研究成果は、集中治療医学の専門誌Critical Careに2021年9月16日に掲載されました。

  • 2010年から2017年にかけての日本での敗血症に関するデータの推移