インスリンによる糖と脂質代謝制御の全体像を全ゲノムレベルで解明 糖尿病で問題となる糖代謝特有の制御領域を特定

2021年11月08日

研究・産学連携

 コロンビア大学医学部 北本匠研究員(千葉大学大学院医学研究院特任助教:現在留学中)、Domenico Accili教授、千葉大学大学院医学研究院 金田篤志教授、岡部篤史助教らの研究チームは、最新技術を駆使し、健康状態及び糖尿病状態で糖代謝制御において重要な役割を持つ転写因子FoxO1がゲノムに働きかける全体像を、特に糖・脂質代謝の観点から明らかにしました。全ゲノムレベルでインスリンシグナルによる糖と脂質代謝の制御機構の違いが明らかとなったのは世界で初めてです。動物モデルの作成及び、全ゲノム情報の網羅的解析技術を駆使することで、糖尿病で問題となる糖代謝特有の制御領域を特定し、病気によりゲノム上に生じる変化が明らかになりました。
この成果により、インスリンの仕組みを応用した今までにない作用機序の薬剤である「選択的インスリン感受性改善薬」という新たな治療法の確立につながることが期待されます。
本研究成果は、科学誌「米国科学アカデミー紀要」にて2021年11月4日(日本時間)にオンライン公開されました。

  • インスリンがゲノムに信号を伝える様子。今日に至るまで、インスリンがどのようにゲノムを制御し、その多様な機能を使い分けているのか不明であった。