最も安定な水素イオン排出ポンプの創出に成功―理論計算を駆使して膜タンパク質を効率的かつ大幅に耐熱化する手法を構築―

2022年02月21日

研究・産学連携

千葉大学大学院理学研究院(膜タンパク質研究センター、分子キラリティー研究センター兼任)の安田賢司特任助教、木下正弘招聘研究員 (京都大学名誉教授)、村田武士教授らは、岡山大学、東京大学、理化学研究所と共同で、独自の理論計算を用いて、光エネルギーを電気化学エネルギーに変換する膜タンパク質の、世界で最も安定(高耐熱)な変異体の創出に成功しました。
本研究成果は、光センサーチップ等の材料への応用や、光遺伝学への利用、クリーンエネルギー分野への応用が期待されます。
本論文は、2022年1月29日に米国科学雑誌「The Journal of Physical Chemistry B」にオンラインで公開されました。

  • (A)サーモフィリックロドプシン(TR)の結晶構造と、本研究で構築した手法の手順を表した図。(B)サーモフィリックロドプシンの野生型 (Tm=91.8℃)と4重変異体のDSCの測定結果。Cpは熱容量(温度を走査したときの熱の出入り)であり、このピークがタンパク質の変性温度と考えられる。4重変異体は野生型と比較して13.5℃も変性温度が上昇した。