コケミオシンに原形質流動を発生させる機能が備わっていることを発見 地球温暖化対策につながる「植物の成長促進原理」解明へ

2020年08月20日

研究・産学連携

早稲田大学教育・総合科学学術院の富永基樹准教授、基礎生物学研究所の上田貴志教授、千葉大学の伊藤光二教授らの研究グループは、陸上植物の進化の基部に位置するコケ植物(ゼニゴケ)のモーターたんぱく質(=ミオシン)を調べた結果、非常に高い運動機能を備えていることを明らかにしました。
さらにコケミオシンの遺伝子を、より複雑に進化した被子植物(シロイヌナズナ)に遺伝子導入したところ、シロイヌナズナミオシンに代わってシロイヌナズナ細胞内で細胞小器官に結合して原形質流動を発生させ、植物体の成長を回復させることが分かりました。すなわち、植物進化の初期段階からミオシンには非常に高い運動機能や細胞小器官結合能など原形質流動を発生できる分子機能が備わっていて、被子植物にまで受け継がれていることが明らかになりました。
なお、原形質流動は植物内の糖や無機塩類の輸送を司り植物成?を規定する重要な因子となっています。したがって、その基本原理の理解は、今後の植物バイオマス増産に不可欠な基盤知識となります。

本研究成果は、「The Plant Journal」にて2020年7月27日(現地時間)に公開されました。

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