不眠症治療薬が結合したオレキシン受容体の構造を決定―立体構造から合理的新規治療薬開発へ向けて―

2023年01月04日

研究・産学連携

京都⼤学⼤学院医学研究科 浅⽥秀基 特定准教授、林到炫 助教、岩⽥想 教授らは、千葉⼤学⼤学院理学研究院 安⽥賢司 特任准教授、村⽥武⼠ 教授、関⻄医科⼤学 医化学講座寿野良⼆ 講師らと共同で、不眠症治療薬であるデエビゴ(⼀般名:レンボレキサント)が結合したオレキシン2受容体(OX2R)の⽴体構造を解明しました。
OX2Rは、オレキシンAやBと呼ばれる神経ペプチドと結合することで睡眠、覚醒サイクルを維持・制御する重要な受容体です。そのため、OX2Rは不眠症治療薬の重要な標的となっています。これまで、不眠症治療薬 であるベルソムラ(⼀般名:スボレキサント)が結合したOX2Rの構造は明らかになっていましたが、レンボレキサントが結合した構造は未知のままでした。今回、レンボレキサントとスボレキサントが結合した構造を⽐較することで、不眠症治療薬の効果の違いを分⼦レベルで明らかにすることに成功しました。今回の結果は、治療効果の違いを⽴体構造から明らかにし、不眠症治療薬の効果的な設計に対する理解をより深めることが期待されます。 
本成果は、2022年11⽉22⽇に⽶国の国際学術誌「Structure」にオンライン掲載されました。