胃癌の約10%を占めるEBウイルス胃癌の原因を解明 感染ウイルスが、眠っていたゲノム領域を叩き起こして発癌させていた

2020年07月28日

研究・産学連携

千葉大学大学院医学研究院 金田篤志教授、国立シンガポール大学医学部 パトリック・タン教授らの研究グループは、エプスタインバー(EB)ウイルス胃癌について、ウイルス感染がどのように胃癌を引き起こすかのメカニズムを解明しました。
本研究では、ゲノム修飾やゲノム3次元構造を網羅的解析する技術と、胃細胞に人工的にウイルス感染させる技術を組み合わせることにより、全く新しい発癌機構を発見し、「エンハンサー侵襲」と名付けました。
この成果は、胃癌をはじめとするウイルスが関与する多くの悪性腫瘍についての原因の解明や治療法確立につながることが期待されます。
本研究成果は、科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」にて2020年7月28日0時(日本時間)にオンライン公開されました。

  • ニュースリリース_胃がん原因解明0722_ver5.jp

    EBウイルスが胃細胞に感染してから 「エンハンサー侵襲」を起こし、発癌させるまでの流れ。
    i.閉じ込められた不活性領域で眠るエンハンサー(水色)
    ii.感染EBウイルスゲノム(青)が不活性領域の一部に接近
    iii.接近した領域は開き、眠っていたエンハンサーも活性化して(赤色)、周辺の増殖関連遺伝子の発現量を上昇させる