有機物質の光酸化経路の分かれ道をX線ビームで解明 光エネルギーによる物質変換制御へ前進

2021年07月05日

研究・産学連携

 千葉大学大学院融合理工学府博士前期課程(研究当時)の福原 大輝 氏、大学院融合理工学府研究生のMoses T. Joseph氏、大学院工学研究院の糸井 貴臣 教授、大学院理学研究院の泉 康雄 教授らの共同研究グループは、再生可能エネルギーの一つである光エネルギーによる有機物質の酸化反応の経路を解明することを目的として、銀ナノ粒子と酸化チタンから成る光触媒でアルコールの酸化が進む過程を、銀ナノ粒子にX線ビームを照射して追跡することで、詳しく観測しました。その結果、アルデヒドを生成する条件と、メタンやCO2、水に光分解する条件を明らかにしました。
本研究で明らかとなった反応過程は、光エネルギーによる化学反応を制御して必要な化学物質のみを取り出す際の指針となります。また、本研究で用いたX線ビームによる追跡(局所X線温度計)は、反応の過程で最大で約6倍の粒子径の変化があった本研究でも的確に局所温度を計測することが可能なため、今後様々な触媒や機能物質の反応経路の解明への応用が期待できます。
本研究成果は、米国化学会刊行The Journal of Physical Chemistry Cで2021年7月1日(アメリカ東部時間)に電子出版されました。

銀-酸化チタン触媒によるアルコールのアルデヒドへの変換、およびメタン、CO2、水への光燃料化経路