研究成果・活動報告
Research & Activities

移民難民ネットワークちば 第5回勉強会

移民難民ネットワークちば 第5回勉強会 

テーマ:地域に暮らす外国籍住民への伴走型支援
日時:2023年9月12日(火)15時~17時
オンライン開催

講師1:石井 さわ子氏(一般社団法人レガートおおた 代表理事)

講演タイトル:外国人相談・支援における伴走型支援の実践例

講師2:内藤 博幸氏 山田 奈実氏(社会福祉法人大田区社会福祉協議会 地域福祉コーディネーター)

講演タイトル:地域の伴走型支援の実践例

これまで、同じ地域社会の住民でありながらも、「外国人」からの相談は国際交流協会や地域日本語教室が入り口になることが多く、地域内での「国際福祉」と「地域福祉」の連携がなかなか進まないことが指摘されてきた。第5回勉強会では、東京都大田区に地域における多言語相談窓口を担い、多文化共生社会の実現にご尽力されてきた石井さわ子さん(一般社団法人レガートおおた代表理事)、内藤博幸さん・山田奈実さん(東京都大田区社会福祉協議会 地域福祉コーディネーター)をお迎えし、地域共生社会の実現に向けた重層的支援体制整備事業の枠組みのなかで外国籍住民の方々を地域住民として包摂し、伴走型支援を提供されている事例についてお話を伺った。

まず、石井さわ子さん(一般社団法人レガートおおた代表理事)より、「外国人支援になぜ伴走型支援が必要か」と題し、レガートおおたによる外国人住民・移民に対する伴走型支援の事例についてご報告いただいた。報告では、外国人住民・移民に対しては「課題解決支援」と「伴走型支援」の両輪で支援のアプローチを行うことの重要性が指摘された。課題解決型支援では、生活保護申請や住居探しなど特定の課題に対し集中的に行うアプローチであるのに対し、伴走型支援は、つながり続けることにより、社会的な孤立を防ぐことに主眼がある。レガートおおたの伴走型支援において力を入れている点として、相談者の当事者性を大切に/支援する側/される側を固定しない(双方向性)/支援の輪を広げる、信頼をつなぐ/ホスト社会(=日本社会)との橋渡し/言語のサポート/言語だけではないコミュニティ通訳の導入が紹介された。

次に大田区社会福祉協議会の内藤博幸さん・山田奈実さんより「地域の伴走型支援の実践例」と題し大田区における支援事例をご報告いただいた。報告では、専門職としての地域福祉コーディネーターの役割や職務について解説をいただいたのち、実際の個別支援・地域支援の事例についての紹介があった。最後に、地域福祉コーディネーターによる支援において大切な点として、本人を配慮した関係機関の支援のあり方/断らない相談、包括的な受け止め、支援者本位ではなく利用者本位の徹底/個人と世帯の支援/住民が地域を支える/アプローチし続ける/本当のニーズをつかむ/相談援助の主体/繋がり、孤立を防ぎ、支え合う、という7つのポイントを紹介いただいた。

2報告ののち、グループにわかれディスカッションを行った。全体交流では、日本語教室等に個別相談が持ち込まれた場合、どうやって専門機関につなげていけばいいのかといった疑問や、これまで外国人住民に対し別個に活動してきた国際交流協会等と福祉系の団体のネットワーキングを推し進める必要性について発言があった。参加者は約25名であった。

記録:相良 好美(千葉大学大学院社会科学研究院 特任研究員)

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