研究成果・活動報告
Research & Activities

第6回 移民難民スタディーズ研究会 案内

第6回 移民難民スタディーズ研究会 案内

人の移動から見るヨーロッパ

日時:1月21日(木)10:00~12:00
オンラインZoom 会議

■「東地中海における移動の政治――戦間期ドデカネス諸島を中心に」
石田憲(千葉大学社会科学研究院)

概要

移動、移民、難民といった諸概念を考えながら、東地中海をめぐって生じた人々の往来とそれに伴う政治の諸相を分析していきたい。主体的選択によって展開されていた地中海内の人の移動は、戦争によって強制的な住民の追い出し圧力が加わっていく。同時に、直接の強要ではない場合でも、経済・社会的理由による移民という消極的選択も顕著となったのが、第一次世界大戦以降の趨勢であった。他方で、東地中海で送り出し圧力の中心となる植民地支配権力側の動向として、住民の包摂と排除がどのように行われたのかということも重要である。本報告では、エーゲ海におけるイタリアのヨーロッパ内植民地ドデカネス諸島、とりわけカステロリゾ島とカリムノス島を取り上げつつ、住民たちの対応も含めた双方向の動きを検討しながら、移動をめぐる政治の問題を考察する。

■「フランスにおける移民の軌跡:1920年代の外国人労働者とその家族」
中村千尋(千葉大学社会科学研究院)

報告

本報告は、ヨーロッパにおける人の移動に関する一事例として、1920年代のフランスで見られた外国人労働者とその家族の移住過程を検討することを課題とする。19世紀末以降、フランスでは外国人に関する公的な制度が構築されつつあったものの、1920年代において国外からの労働者の導入は産業界のイニシアティヴに委ねられていた。報告では、労働者の組織的な受入れをめぐる制度の特徴を確認したうえで、在仏外国人のなかでも最も増加したポーランド人に焦点をあて、両国の政府、産業界、労働界を代表する諸アクターの利益、役割、関係性を考察する。また、ポーランド人労働者とその家族の軌跡を辿るなかで、教育と雇用を結ぶ視点として、企業パターナリズムのもとで行われたポーランド人の子どもに対する教育について検討する。

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