第7回 移民難民スタディーズ研究会 案内
人の移動と帝国の残滓
日時:2月22日(月)10:00~12:00
オンラインZoom 会議
■「アジア・太平洋における移民をめぐるトランスナショナル・ネットワーク」
高光佳絵(千葉大学大学院国際学術研究院)
概要
戦間期アジア・太平洋におけるアジア系移民排斥とトランスナショナル・ネットワークの関係の実態を明らかにしたいと考えている。戦間期は帝国再編・解体期にあたる。アジア・太平洋地域におけるアメリカ中心のネットワークは1920年代半ばにYMCAから「太平洋問題調査会(The Institute of Pacific Relations)」へ移行しつつ発展したが、その過程で同地域の国際秩序形成に影響力を維持しようとするイギリス中心のBIIA(The British Institute of International Affairs)構想と競合・対立するに至った。この英米両ネットワークの狭間で触媒的役割を担ったのが北米に位置するイギリス自治領カナダであり、一方でその過程において当時のカナダ社会の統合とイギリスの対外政策からの自律化を促進した重要なイシューがアジア系移民排斥であったという仮説を実証する研究をめざしている。
■「ブレグジットにおけるブリテン/アイルランド国境問題」
崎山直樹(千葉大学大学院国際学術研究院)
報告
2020年1月31日に実施されたブリテンの欧州連合離脱とは一体何だったのか。本報告ではブリテン内部での対立を離脱派、残留派双方の主張に注目し検討する。特に「移民」に対する意見を中心に、何が争点だったのかを確認する。またこのブレグジットの問題はブリテン内部で完結する話ではなく、当然EUとの交渉も必要となった。この交渉のプロセスの中で争点として浮上したのが国境問題である。歴史的な背景のあるブリテン―アイルランド間の国境問題は、多くの記憶を呼び覚ましながら、注目されていった。ブリテン、北アイルランドそしてアイルランドおよびEU側の主張を整理した上で、合意されたルールとそれがもたらす影響について論じたい。